審査講評


総審査長
   京都府立農芸高等学校 校長 市川 榮作

 全国約3,700名のクラブ員が、「集え!天下の台所 今こそ見せたれ 農クの魂」、「大阪に集いし、農クの仲間!」の大会スローガンのもと、第67回日本学校農業クラブ全国大会平成28年度大阪大会が開催されました。大阪府での開催は、昭和26年に実施された第2回大会、昭和50年に京都・兵庫・大阪の3府県合同で開催された第26回大会、そして、本大会で3回目の開催となります。
 各種目・会議等に参加された皆さんは日頃の学習成果を遺憾なく発揮されたことと思います。ここで各審査長から寄せられた報告内容を基に審査講評をさせていただきます。

◆ プロジェクト発表会 ◆

 今大会より新基準による初のプロジェクト発表会でした。発表者の皆さんやご指導いただいた先生方は大変ご苦労されたことと思われます。地域の農業や環境、商品開発などの問題をテーマに取り上げ、農家・企業・大学・研究機関等との連携を図りながら地域活性化を目的とした発表が多く見られました。特に日頃の農業学習で学んだ知識や技術がプロジェクト学習に活かされており、さらにその成果が、地域の活性化や発展に結びついている点は評価に値します。また、プレゼンテーションのスライド作成については、聴いている人たちにとって分かりやすくまとめられており、活動記録簿からも日常の地道な研究活動を知ることができました。
 しかし、事前提出資料の中には今回の発表以前の内容を多く含むものもあり、改善の余地があります。また、数値的データによる検証等が少ないため合理的な結論になっていないものなど、数値的データ以外の評価方法について工夫が必要であると思います。たくさんの事を伝えたいがために、盛りだくさんの発表になっているものもありました。今後、より精選された内容で発表されることを期待します。

◆ 意見発表会 ◆

 意見発表会では、日頃の学習内容に関わって、地域のために貢献したいという前向きな取り組みが多く見られました。また、将来の目標や夢を語る発表も多く、農業に対する意欲や熱意が感じられました。とりわけ、自己の体験に基づいた内容は説得力があり、様々な試行錯誤の末、前向きに努力していこうとする姿勢が印象的でした。
 改善点としては、夢を語る中にも実現可能な具体策が盛り込まれていたら、さらに聴く人を引き付ける内容になったと思います。

◆ 平板測量競技会 ◆

 平板測量競技会の外業作業では、多くのチームがデータを確実に伝達するために大きな声で復唱していたこと、致心作業の精度の高いこと、併せてチームのメンバーの中で役割分担を明確に決め、非常に手際よく作業を行っていたことが印象的であり、事前に十分な練習を積まれてきたことや測量競技会に対して真剣な態度で取り組む姿に好感を持ちました。測量の実務に携わる審査員からも「色々な測量方法があることを知り、むしろ勉強になった」との声も聞かれました。
 また、競技会の運営で終始献身的に一人二役以上の仕事をこなしてくれた実施担当校のクラブ員の皆さんのおかげで、審査活動をスムーズに進めることができました。
 改善点としては、不注意による用具の不備や確認の甘さから忘れ物をして減点を受けたチームが見受けられたことです。日頃から器具を大切にかつ適切に扱うよう心がけてください。
 この測量競技を通じて学んだ技術や知識と育んだチームワークの経験を、これからの農ク活動や将来の進路に活かしていただくことを期待します。

◆ 農業鑑定競技会 ◆

 農業鑑定競技は約1,000名の参加者があり、競技運営が大変重要となります。実施担当校として係の生徒たちは、全国大会の運営に関わる責任の重さを感じ、それぞれの担当業務において緊張感を持って取り組んでいました。出場選手も真剣に取り組み、限られた解答時間をフルに生かして懸命に問題に向かう姿が印象的でした。一般公開でも解答を確認しながら自分の学習に役立てている様子が見られました。今回初めてマークシートによる解答方式が導入されましたが、名前や受験番号欄での未記入やマークなどのミスが多少見受けられたものの、心配されたほどではなく、むしろ採点時間の短縮や負担軽減につながるなど効果的でした。
 改善点としては問題作成委員が期待していた正答率には届かなかったことです。実施基準が改訂になり新しい分野が導入されたことへの対応が十分ではなかったかもしれません。実施基準にある正しい名称・用語を習得するよう基礎・基本を大切にした取り組みが求められます。

◆ クラブ員代表者会議 ◆

 今年度は全国から232名の参加がありました。本大会の運営担当のクラブ員の皆さんと事例発表された9校の皆さんには、事前準備から大会当日まで本当にお疲れ様でした。本大会では前日に開会式とアイスブレーキングを行い、分科会の時間を長く取りました。そのため各分科会ともテーマに沿った活発な意見交換がされていました。すべての分科会で“情報発信”という言葉がキーワードになっていました。各校で学んだ専門的な知識を外部に発信することで農業クラブ活動の質を上げることができるのはないか、という意見もありました。今後はこれらの成果を各単位クラブで活用し、農業クラブの活性化につなげていただきたいと思います。

 本大会に参加のクラブ員の皆さんとその指導にあたられた先生、そして、運営に携われたクラブ員と先生方、大変お疲れ様でした。各種目で日頃の学習の成果を十分に発揮し、発表されたことと思います。
 入賞された皆さんおめでとうございます。惜しくも入賞をできなかったクラブ員の皆さんの取り組みも素晴らしいものでした。
 本大会に参加された皆さんは、日々の実験・実習を通して地道な努力を繰り返し、試行錯誤しながら新しいことを創造されていることから、将来の農業や農業関連分野のスペシャリストとして活躍できるリーダーへと成長されることと期待をしております。
 最後に、平成28年度大阪大会の開催にあたり、運営・準備にご尽力を賜りました関係各位、大阪府学校農業クラブ連盟の皆さんに心より感謝を申し上げます。
 以上で、審査講評とさせていただきます。ありがとうございました。